過酷な環境から生まれたブランド ― WILD THINGSのはじまり

過酷な環境から生まれたブランド ― WILD THINGSのはじまり

WILD THINGSは1981年、アメリカ・マサチューセッツ州で誕生しました。創業者はプロの登山家とアルピニスト。つまり、最初から「売るための服」ではなく、「生き延びるための道具」として設計されています。

ヒマラヤやデナリ(旧マッキンリー)といった極地環境での使用を前提に、軽さ・強度・可動域を徹底的に追求。ここで重要なのは、デザインが“結果”であって“目的”ではない点です。見た目が洗練されているのは、無駄を削ぎ落とした末にそうなった、というだけの話。

軍も認めた機能性 ― ミリタリーとの深い関係

WILD THINGSを語るうえで外せないのが、米軍(特にECWCS)への納入実績です。レベル7に代表されるプリマロフトジャケットは、極寒地で活動する兵士のために開発されました。

ここで使われるプリマロフト(化繊中綿)は、濡れても保温力を失いにくく、ダウンよりも扱いやすい。戦場では「繊細さ」は弱点になります。この思想が、現在のWILD THINGSの製品にも脈々と流れています。

結果として、ミリタリー由来の無骨さと、アウトドア由来の合理性が同居する。これが他ブランドにはない独特の緊張感を生んでいます。

街でこそ活きるアウトドアウェア

興味深いのは、WILD THINGSが“山より街で着られている”という現象です。理由は単純で、日本の都市環境は意外と過酷だから。

寒暖差、雨、風、長時間の移動。これらは登山の縮小版です。WILD THINGSのジャケットやパンツは、こうした条件下でストレスを感じにくい構造を持っています。

シルエットは過剰に細くせず、可動域を確保。ポケット配置も実用優先。結果、流行に左右されにくく、数年単位で着続けられる服になります。ファッションとして消費されない、というのは長所です。

日本企画ラインが生む「翻訳」の妙

現在、日本ではWILD THINGS JAPANとして独自企画ラインが展開されています。これは単なるライセンス品ではなく、アメリカ本流の思想を日本の生活に“翻訳”した存在。

サイズ感や素材選びは、日本の気候やレイヤリング文化に最適化されています。それでも根底にあるのは、機能優先・合理主義。デザインだけをなぞったアウトドア風ブランドとは、ここで決定的に分かれます。

古着市場でのWILD THINGSの価値

古着の視点で見ると、WILD THINGSは「状態が多少荒れていても価値が落ちにくい」珍しいブランドです。理由は、使用感=機能美として成立するから。

特にUSA製やミリタリーコントラクト品、旧タグのプリマロフトジャケットは安定した需要があります。流行色よりもブラックやコヨーテ、オリーブといった実用色が評価されやすいのも特徴です。

消耗を前提に作られた服は、時間を経ても思想が残る。これは古着として理想的な資質です。

まとめ:合理性は、最大の個性になる

WILD THINGSは主張しません。ロゴも控えめ、装飾も最小限。それでも一目で「分かる人には分かる」空気を纏っています。

過酷な環境で生き延びるための知恵が、結果として美しく見える。機能を突き詰めると、デザインになる。その好例がWILD THINGSです。

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