道具として生まれ、文化として残る ― FILSONが“一生モノ”と呼ばれる理由
アメリカのワークウェアやアウトドアブランドを語るとき、必ず名前が挙がるFILSON（フィルソン）。
1897年創業。100年以上前から、同じ思想で服とギアを作り続けているブランドは、実はそれほど多くない。
FILSONの原点は、ゴールドラッシュ時代のアラスカ。
過酷な自然環境の中で働く人々にとって、衣類はファッションではなく命を預ける道具だった。FILSONはその現場で鍛えられ、「壊れないこと」「役に立つこと」を最優先にプロダクトを生み出してきた。
この姿勢は、現在のFILSONにも色濃く残っている。
ヘビーオンスのキャンバス、肉厚なウール、無骨な金属パーツ。
流行に寄り添うのではなく、時間に耐える設計。結果として、10年、20年と使い続けられるアイテムが当たり前のように生まれる。
FILSONが古着市場で評価され続ける理由
FILSONの古着が特別なのは、「古い＝劣化」になりにくい点だ。
むしろ使い込まれた痕跡こそが価値になる。
・擦れたキャンバスの表情
・色落ちしたオイルドファブリック
・体に馴染んだウールジャケット
これらは新品では再現できない“履歴”であり、FILSONというブランドの思想そのものでもある。
だからこそ、ヴィンテージや旧タグのFILSONは、今なお安定した需要がある。
どんなFILSONが高く評価されやすいか
特に評価されやすいのは、以下のようなアイテム群だ。
・Mackinaw Cruiser（マッキノークルーザー）
・Tin Cloth（ティンクロス）を使用したジャケットやバッグ
・Made in USA表記の旧モデル
・USA製タグ、白タグ・赤タグ期のアイテム
状態はもちろん重要だが、FILSONの場合「多少の使用感＝マイナス」にならないケースも多い。
むしろ、らしさが残っているかどうかが見られる。
時代が変わっても価値が残るブランド
大量生産・短命な服が増えた現代において、FILSONの存在はどこか異質だ。
だがその異質さこそが、今の時代に強く求められている。
長く使えること。
修理しながら使い続けられること。
そして、次の持ち主へ受け継がれること。
FILSONは新品でも、古着でも、その価値が極端にブレにくい。
だからこそ、クローゼットに眠っているFILSONは、今も“道具”として評価される。
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