襤褸(BORO)の魅力

襤褸(BORO)の魅力 ― 時を越える布の物語

「襤褸(ぼろ)」という言葉を耳にすると、最初は“古くて使い込まれた布”というイメージを思い浮かべるかもしれません。けれども、近年ではファッションやアートの分野で注目を集める存在になっています。そこには、日本独自の美意識と持続可能な暮らしの知恵が息づいているのです。

暮らしから生まれた美しさ

襤褸は、江戸から明治時代にかけて、東北地方を中心に生まれました。寒さの厳しい土地で布が貴重だった時代、人々は布を最後の最後まで使い切ろうとしました。擦り切れた部分に布をあて、刺し子で縫い重ねることで強度を増し、さらに世代を超えて受け継がれていったのです。
その積み重ねが、偶然にも独特の色合いや模様を生み出し、結果として唯一無二の“美”が形作られていきました。

ファッションとしての襤褸

現代では、襤褸はヴィンテージファッションやリメイクブランドの中で再評価されています。藍染めの深い青と使い込まれた布の質感、そして無数のステッチが織りなす表情は、どんな新品の服にも真似できない存在感を放ちます。
海外では「BORO」と呼ばれ、アートピースのようにコレクションされることもあります。まさに「用の美」がファッションとして再解釈されているのです。

サステナブルな価値観

襤褸が注目される背景には、現代社会が直面する「大量生産・大量消費」への疑問もあります。布を大切に繕い、世代を超えて受け継ぐ文化は、持続可能な暮らしそのもの。襤褸を身にまとうことは、ただのファッションではなく、モノを大切にする姿勢を纏うことでもあります。

ひと針ごとに宿る物語

襤褸の最大の魅力は「物語性」です。布のひと針ごとに、使った人々の暮らしや手仕事の温もりが宿っています。同じものは二つと存在せず、一点一点が歴史を背負った作品です。その時間の重みこそが、襤褸を特別な存在にしているのです。

襤褸は単なる古布ではなく、「生きた歴史」と「持続可能な美意識」を映し出す文化遺産です。ファッションとして楽しむもよし、インテリアやアートとして取り入れるもよし。時を越えて現代に届いたこの布の魅力を、私たちも日々の暮らしの中で味わってみてはいかがでしょうか。

当店では、KAPITALやKUON TokyoのBOROシリーズはもちろん、45R、パラスパレスなどの藍染や泥染め、草木染めのお品物もお買取しております。

お手元に眠っているお品物がございましたらぜひ、ご利用くださいませ。

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